コラム
Column
発明プラスには、「知的財産のQ&A」というページがあります。その中でアクセスが多い記事の一つが権利の有効期限に関するものです。予想するに、競合他社が特許権を持っているという情報を得た際に、その権利がいつまで続くのかという点が気になるのではないでしょうか。
特許権の有効期限は原則、特許出願した日から20年間です。その期間が過ぎれば、その特許発明については自由に使うことができます。特許権は永遠の権利ではないのです。
(注意が必要なのが、起算されるのは特許出願の日からであり、特許登録された日からではないことです。)
時々、特許権が切れてもその発明の周辺を別の特許権で囲っているから権利期間が伸びている、というような話を聞くことがあります。これは権利期間が伸びているわけではありません。あくまで別の特許権が存在しているだけで、元となる特許権の権利期間が切れていることに変わりはありません。その周辺特許を使いさえしなければ、元となる特許権を使っていたとしても特許権侵害にはならないのです。特許権は原則として出願から20年で切れること、特許権は一つひとつで考える、ということを知っておくとよいでしょう。
特許権は、発明を公開する代償として国が独占権を認めるというものです。新たな発明が公開されることにより技術開発は進んでいくため、まわりまわって日本の産業全体が発達することになるからです。
しかし、その独占権も永遠に続いては権利者以外が困ってしまいます。技術は日進月歩で進んでいくので、30年も40年も前の特許権が残っていると反対に技術発展の阻害となってしまうからです。そのため、特許権の存在を出願から20年に限定しているのです。
また特許権を維持するためには、特許庁に対して登録費用を支払い続けなければなりません。この費用を払わなかったり、払い忘れたりすると特許権は消滅します。これは、権利者に特許権を維持するか否かを判断させることで、不必要な特許権を放棄してもらい、広く技術を開放してもらうという意図もあります。
これまで述べてきたように、特許番号が付与されていたとしても、有効期限を過ぎていたり費用が払われておらず権利が消滅している場合があります。競合他社が特許権を持っているという情報を得たときには、まずは有効な特許権であるのかを調べることが大切です。
反対に特許権者の場合、権利が切れているにもかかわらず特許番号を載せることは虚偽表示に該当する可能性があります。虚偽表示には罰則規定もあります。そのため、権利者である場合にも特許権が有効であるか注意しなければなりません。
デザインが生まれたら 商品を開発したときに特許権の取得を考えることがあるかと思います。しかし、実は商品を守る知…続きを読む
特許の使用料の考え方 特許権を取得した人がその使用料でお金持ちになったという夢のような話を聞くことがあります。…続きを読む
流行りのM&A 「サラリーマンは300万円で会社を買いなさい」(講談社+α新書)という個人M&Aを薦める本があ…続きを読む
物語は魅力的 スポーツ選手が怪我から復帰してオリンピックでメダルを取る、というような復活劇は多くの人を感動させ…続きを読む
プライベートブランド 昨今、コンビニエンスストアでも大手スーパーでも見るのがプライベートブランド(PB)です。…続きを読む