ビジネスモデル特許とは

ビジネスモデルに関する特許は、日本では2000年頃に出願ブームが起こり、年間約2万件もの特許出願がされました。しかしながら、その後は2011年頃まで減少しています。減少の理由は「ビジネスモデル特許」という言葉に誤解があったからだといわれています。

ビジネスモデルとは一般的に、利益を生み出す製品やサービスに関する事業戦略と収益構造を言います。それに対して「ビジネスモデル特許」とは、ICT(情報通信技術)を利用してビジネス方法を実現した発明の特許のことを言います。つまり、ビジネスモデル特許はICTを活用したものに限られるのですが、ビジネスモデルという言葉からICTを使わないものまでが「ビジネスモデル特許」として特許出願されていたのです。特許は「技術的思想の創作」を発明と認定するものですから、ICT等の技術を使わず、単に人と人とのやりとりの工夫などのビジネスモデルだけで特許出願をしたとしても、特許を取得することはできませんでした。

IoTとビジネスモデル特許

転機は2011年頃、特許制度を理解したうえでのビジネスモデルの出願が再度増えてきています。その理由の一つに、モノがインターネット経由で通信するIoT技術が発展してきたことがあります。これによってモノ同士が通信技術でつながり、様々な情報が共有されるようになりました。例えば農業分野では、糖度計で取得した果実の糖度データをネットワークで収集管理して活用することで、糖度の高い果実を安定して生育することが可能になっています。

さらに今後は5Gに移行していくことから、情報の伝達速度が上がりビジネスモデル特許をサービスとして提供する企業が増えてくると予測されます。特に自動車業界では、5G通信を使った自動運転化が進むことで車がシェアリングされる時代になると言われており、新たなビジネスへの転換期を迎えています。

サービス業にもチャンスがある

こうしたIoT化の中では、情報をただ取得するのではなく、うまく活用してサービスに転換できることが重要です。モノ自体を製造しないサービス業であっても、ICTを使った新しい情報の活用方法を見つけることができればビジネスモデル特許を取得することができるのです。情報に直接触れてきたサービス業だからこそ、見つけられるアイデアがあるかもしれません。これまでと違うビジネスチャンスを作るためにも、情報を活用した新しいサービスを考えてみてはいかがでしょうか。

富澤 正

弁理士。当サイト『発明plus(旧:開発NEXT)』および同タイトルのフリーペーパーの編集主幹。
■経歴
知財コンサルタント。コスモス特許事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。
1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。
特許業務の傍ら、知的財産の執筆活動・講演活動などを行う。自身の知的財産権を活かしてアイデア商品を作るベンチャー企業Time Factory株式会社を設立し、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。
■専門分野
知財ビジネスマッチング、開放特許活用戦略、知財を活かしたビジネスモデル作り
■著書
『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)
『理系のための特許法・実用新案法』(中央経済社)
『理系のための意匠法』(中央経済社)
『理系のための商標法』(中央経済社)
■連載
『日経産業新聞』にて連載 (2017.5.12~20217.5.20)
『中部経済新聞』「みんなの特許」を毎週月曜日に連載中 (2014.4~現在)『サンケイビジネスアイ』「講師のホンネ」にて月1コラム連載 (2013.5~2014.1)
『日刊信用情報』にて「知財コンサルタント富澤正の「知的財産権を極める」」を週1コラム連載 (2013.9~2014.8)