2021年1月に朝日新聞デジタルが伝えたところによると

キャベツウニ、厄介者をブランドへ

神奈川県が商標登録磯の海藻を食い荒らす厄介者のムラサキウニを駆除し、流通規格外の廃棄キャベツを与えて身入りを良くした「キャベツウニ」を、神奈川県が商標登録した。

2021年1月4日 朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASP137261NDCULOB014.html

とのことで、神奈川県が『うに』などを指定商品・役務として商標『キャベツウニ』を商標登録したようです。J-PlatPatで調べてみると商標登録第6306673号ですね。

記事のなかで気になったのは「漁業者や水産関係団体であれば、県内外を問わず、県から許諾を受ければ無償で使える。」との記述です。商標権といえば独占排他権でもありますので、一般的には商標(ブランド)を他人に使わせない「独占」のイメージが強いですが、今回の商標について神奈川県としては独占よりも広く使わせる選択をしたことを意味しています。しかも「県内外を問わず」とは懐が広い。それほどウニによる海藻の被害が大きく、水産業にとって全国的な問題であることを示しているのでしょう。

商標の使用を広く認めることにはどのようなメリットがあるのでしょうか?1つは、その名称が広く知られることで需要が高まり、その商品の生産等が広がることが期待されます。生産が広がればウニの被害を減らすことができますし、需要が高まれば生産する事業者にとっても採算性が良くなり、事業化のチャンスも広がります。

ところで広く使ってもらう戦略のなかで何故、商標権を取得したのか。それは先に紹介した記述の「県から許諾を受ければ」の部分に関わってきます。広く使ってもらうにしても、低品質なものや全く関係のないものに商標が使われてはかえってブランドを貶めてしまいます。そうならないように、商標を管理しつつ広めるために商標権を取得したものと考えられます。そうした戦略で捉えると、商標権は独占排他権というより独占制御権(コントール権)と呼べるかもしれません。

このように知的財産権を上手く使ってアイデアを開放する手法は、近年では特許や著作権でもよく使われるようになっています。ソフトウェアのオープンソースライセンスの枠組みや、企業間で行われている開放特許の取り組みなどがその例です。

写真はイメージです。

後藤 英斗

弁理士、情報処理安全確保支援士(登録セキュリティスペシャリスト)。
知的財産とITに関する記事を書いています。