知的財産Q&A
Intellectual Property Q&A
海外展開にあたりフランスで特許を取得しておきたいのですが、どのようにすればよいのでしょうか?
フランスでの特許権の取得を希望する場合、まずはフランスに特許出願する必要があります。フランスへ特許出願する方法としては主に次の4つがあります。
なお、PCT出願の場合にEPOを経由せずに直接フランスへ移行することをフランス特許庁は認めていないので、必ずEPOを経由するよう注意が必要です。
一部では「フランスは無審査で特許が取れる」という誤解があるようですが、無審査というわけではありません。
審査の流れが他の国に比べて特殊なことと、進歩性が特許要件になっていないことから、このような誤解があるようです。フランス特許庁が自ら審査(調査)を行うのは、優先権主張され、且つ、フランスが第2国出願(出願先として2番目以降の国)である出願のみです。例えばPCT出願や直接フランスに出願した場合には、すべてEPOの審査(調査)結果を用いることとされています。
また、フランスでは進歩性が審査時の要件になっていません。どういうことかというと、フランスでは先行技術に対する新規性があれば特許査定されるということです。
進歩性がいつ考慮されるかというと、審査時ではなく権利行使時、つまり特許侵害についての裁判等の際にチェックされます。この点は、日本の実用新案制度に少し似ています。
前述した通り、フランスでは他国の審査(調査)結果を利用するなどして審査をしており、その結果として調査報告書が出願人に送付されます。調査報告書では、新規性に加えて進歩性の有無についても一応判断されています。進歩性の有無については特許の登録については影響を与えませんが、権利行使の場合には重要な要素となりますので、十分にチェックした方がよいでしょう。
回答日:2019年8月5日