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新規性はどのような場合に否定されますか?

制度・法律に関する質問

新規性はどのような場合に否定されますか?

特許の条件の1つである「新規性」は、どのような場合に否定されるのでしょうか?

発明の内容が誰かに知られたり、知られるような状態になったりした場合に否定されます。

特許法では発明が新規性を喪失するケースを具体的に挙げており、特許出願時に発明がこれらのいずれかに該当した場合、その発明は新規性を否定されます。

公知

発明の内容が公に実際に知られた状態を指します。

公に」という点について、知った人数の多い少ないは問題となりません。一人にでも知られてしまったら、その発明は新規性を喪失します。
ただし、秘密保持の義務を負っているような人に知られただけのケースは除外されます。例えば、秘密保持契約(NDA)を締結している人や、弁理士法で守秘義務を課されている弁理士や特許事務所などは、発明を完成させたり特許出願したりするのに必要ですので、当然知られても新規性を失ったことにはなりません。

知られた」という点については、発明が技術的に理解されたことを意味するとされています。内部に特徴のある発明品の外観だけを見られた場合や、技術内容を全く理解できないような人(例えば子ども)に話した、といった場合には発明を知られたとは言えないと考えられます。

新規性について最も根本的な「公知」ですが、これを理由に特許出願が拒絶されるケースは稀なものであると思われます。なぜなら、審査において、いつ・どこで・誰がその発明の内容を知ったのか、という証明することが、審査官にとって非常に困難であるからです。したがって、実際の審査では以降に説明する事例で拒絶されることの方が多いです。

公用

発明が公に実施された状態を指します。「公用車」などの「公用」とは全く意味が違います。

もう少し具体的に言うと、発明が、公知になる状況、または公知になるおそれのある状況におかれたことを言います。
例えば、発明品を展示会に出展した場合や、製造工程などを秘密保持義務を負わない人に見学させた場合などが該当します。このような場合、詳しく見たりちょっと尋ねれば発明の内容を知ることが可能、ということです。

実際に発明の内容を知られたかどうかは問題ではありません。したがって、展示会に発明品を出展したものの誰一人としてその展示会に来てくれなかった、というなんとも寂しい状況であっても公用に該当します。
なお、実際に発明の内容を知られた場合は、先に説明した公知に該当することとなります。

刊行物公知

刊行物(書籍やカタログなど)に発明の内容が記載され、その刊行物が不特定多数の者が閲覧できる状態におかれたことを指します。

公用と同様、実際に誰かが発明が記載された刊行物を見たかどうかは問題となりません。例えば、書籍が図書館に置かれた場合や、セミナーに用いる資料として受付に並べられた場合には、実際に誰かがその書籍や資料を見ていなくても新規性を喪失します。

なお、刊行物には公開特許公報特許掲載公報が含まれます。実務においては、これらの公報を根拠として拒絶される(新規性を否定される)ケースが多いでしょう。

電気通信回線を通じた公表

インターネットを通じて発明の内容が公表され、不特定多数の者がアクセス可能な状況に置かれた場合のことを指します。刊行物公知の電子版と考えて差し支えありません。実際に誰かが発明の内容が記載されたページにアクセスしたかどうかは問題とならず、アクセス可能になっているかどうかが問われます。

ただし、社内LANのように会社内部の関係者しかアクセスできないようなページに発明の内容が掲載されたとしても、不特定多数の者がアクセス可能な状況であるとは言えないため、新規性を喪失しません。

地理的基準

ここまで説明した公知・公用・刊行物公知・電気通信回線を通じた公表は、いずれも、国内外問わずに判断されます。
つまり、国外では知られてしまったが、日本国内ではまだ知られていないという発明であっても新規性を喪失します。

国外で公知の発明を国内で公知でないからといって特許としてしまうと、国外では自由に使える技術が国内では使えないという事態が生じ、日本の技術開発が他国に遅れを取る状況になりかねないため、そうした制度になっています。

新規性を喪失した発明は特許とならないのが原則ですが、一部の例外ケースにおいては新規性喪失の例外の適用を受けることができることがあります。この場合は、新規性を否定されずに特許を受けられる場合もありますので、まずはお近くの弁理士や特許事務所にご相談ください。

回答日:2018年6月28日

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